ども,竜太です.
以前,情報だけ過去に送るタイムマシンは作れて, 過去へ情報のバトンリレーをすることによって6分程度以前へ情報が送れることを説明しました.
タイムマシンで使う瞬間情報転送装置についてはこちら lagrangian.hatenablog.com
過去へ情報をバトンリレーする案についてはこちら lagrangian.hatenablog.com
また,特殊な工夫をすると必ずタイムパラドックスが起きる点についてもご説明しました: lagrangian.hatenablog.com
今回はまだ立証されていないある仮定を置くことにより,未来からの歴史修正パッチが現在のわれわれの世界線に適用できるという, やや妄想めいた話をしたいと思います.ここで使用する仮定はまだ立証されていないばかりでなく,妥当性についても現状では十分確かとは言えません. しかし,個人的には成り立つ可能性も十分にあると考えています.
皆さんが楽しみながらこの記事を読んでくれたらうれしいです^^
大切な結論は次のことです:
『我々は一つの世界線(=我々自身の世界線)の歴史を管理し見守ってるのではない. そうではなく我々のコピーがいるかもしれない別の世界線の歴史も見守り助けてやらなければならない.』
ということです.
20XX年世界核戦争が起きたら・・・
20XX年世界核戦争が起こったとしましょう. その世界線の地球はもう終わりかもしれません. しかし,タイムマシンがある今できることが一つあります. それはタイムマシンで「何が原因で世界核戦争が起きたか」が分かるのでそれを未然に防ぐ情報を過去に向かって送信するのです. 運が良ければその世界線(=γ世界線)では核戦争は起きないかもしれません. これは核戦争が起こったβ世界線からの歴史修正パッチによって世界線がβ世界線から分裂しγ世界線に移ったためと考えられます. しかし,このγ世界線では今度は人口爆発が起き,極度に温暖化した世界となったとしましょう. 歴史の修正が必要ですね.
こんな時,もちろん核戦争が起きないことが確定した後の時代に情報を過去に向かって送ってもいいのですが, それだとまとめて歴史の修正ができず,ずっと以前にさかのぼってまとめて良い歴史に修正することはほぼ不可能です.
そこで,核戦争が起きないような歴史修正パッチと同時に温暖化した歴史も起きないようにする修正パッチを送るべきでしょう. 幸い私たちは必ずタイムパラドックスを起こす方法を一つ知ってますので,似たような方法をとればこれら二つの歴史修正パッチを 過去に送って歴史を変えさせることができます.
この様子を図にすると次のとおりです:
私たちが今いる世界線をα世界線とします.α世界線ではβ世界線の核戦争も,γ世界線の温暖化も回避されているのでδ世界線と似ているかもしれません. しかし,我々のα世界線はまだ他の世界線の観測者が報告していない世界線の可能性があり,未来は依然として不確定です. とはいえ最大の危機を少なくとも二回は回避しているのでかなりましな世界かもしれないですね. このように未来から順にデータをもらい,β世界線,γ世界線,δ世界線・・・etcからのすべての修正パッチを当てれば,歴史はかなり改善されることでしょう. 歴史にifはないといいますが,他の世界線の情報がもらえるという意味ではifをバーチャルに体験することができるわけです.
注意してほしいのが,私たちのいるα世界線ではタイムマシンからもらった情報はあくまでもγ世界線のものであるのに, それにもかかわらずβ世界線からの修正パッチも送られてくるということです. つまり,送ってくるγ世界線の住人がその時点で把握できているすべての世界線からの情報をデータ容量が許す限りα世界線の私たちに送ってこれるということです. これはありがたいですね.
歴史修正パッチが機能する条件
さて,理屈は分かりましたが,いったいどうすれば意図的にタイムパラドックスを起こして歴史を修正したり, どうすれば歴史を修正せずそのまま進めることができるのでしょうか? まず,タイムパラドックスを起こして核戦争が起きないようにする方法について考えてみましょう. タイムパラドックスを起こすには未来から「YES」と書かれたメールが届いた時だけ未来になったとき機械的に過去に向かって「No」と送ればよいのでした. ポイントは「機械的に」です.
したがって核戦争が起きたときに「機械的に」それとは逆の状況を作り出してしまえばタイムパラドックスが起きて核戦争が回避されるということになります. 詳細は不明ですが,例えば某国を刺激して核戦争が起きたなら,「機械的に」某国を刺激しないなどです.
一方,タイムパラドックスが起きないようにするにはどうしたらよいでしょうか? それは恐らく「意図的にパラドキシカルなことをしない」だけでよさそうです. ここに仮説を適用します:; 仮説:量子時空において時間発展はユニタリーであり,それゆえ世界の分岐に関する変換にはストレートな対応関係が成り立つ.
あまり,科学的ではない「ストレート」などという表現が出たのでご説明します. 未来からタイムマシンを用いて過去に情報を送るとき,必ず受信できる設定だと仮定します. するとプログラムで未来から「YES」と書かれたメールが送られて来た時に未来になったら「YES」と書かれたメールを送り返し, 未来から「NO」と書かれたメールが送られて来た時に未来になったら「NO」と書かれたメールを送り返すように設定しましょう. するとタイムパラドックスは起きずそのままのことが起きます.
これはメールに書かれた未来と起こった未来が矛盾せず,
- 「YES」→「YES」
- 「NO」→ 「NO」
という,恒等変換によく似た時間発展をします. そして私の仮説とは特に作為的なことを行わない限り,非常に高い確率でこれと同じことが起きるのではないか?ということです. この仮定が成り立つならば,タイムマシンの運用はかなり簡単になるわけです.
なお,「YES」と書かれたメールだけ「YES」と送るのは受け取ったメールの文面をそのまま送っているとも取れます. したがって,未来から送られてきたいろいろな情報が載ったメールをそのまま過去に送る場合も,パラドックスを生じない場合が多くなるでしょう.
こうして,ほかの世界線からの多数の歴史修正パッチによって私たちの未来を明るくすることができる可能性が出てきたわけです.
我々は一つの世界線の歴史を管理し見守っているのではない.
ここからわかることは何でしょうか? それは, 「我々は一つの世界線(=我々自身の世界線)の歴史を管理し見守ってるのではない. そうではなく我々のコピーがいるかもしれない別の世界線の歴史も見守り助けてやらなければならない.」 ということです.
ここまで読んでくださって有難うございます. 何か間違い等ございましたら,ご報告いただけると幸いです^^