竜太のテクニカルメモ

物理やへっぽこなゲーム作りについて易しく解説するよ

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(タイムマシン)歴史修正パッチの修正パッチ(-1-)

ども,竜太です.

以前世界の歴史は多世界解釈が正しく,どんどん分岐しながらツリー状に広がっていき全体の確率の和が1になるようなユニタリー変換で書けるということをお話ししました. これはコペンハーゲン解釈では消えてしまった世界があることになり,何故消えたのかの合理的説明が一切されないということを考えると明らかに数学的に優れた解釈論です. もっというと,物理の世界においては数学的に優れた解釈論のほうが常に正しくなるというのが,物理学史上必ず起きており,例えば対称性の観点から優れているローレンツ変換により劣ったガリレイ変換が置き換えられるなどが起きていて枚挙にいとまがありません.つまり,まるであべこべの解釈ですが,量子力学は対称性の観点から多世界解釈のほうが完全に正しくほかの解釈は完全に間違っているとすらいえると思います.

実際に何が起こっているか?ですから,単なる解釈論でなくことは重大です. 例えば,あなたが哲学者ゾンビか心ある人間かは外部からは分かりませんが,あなた本人にとっては重大です.

それとは別にこんな問題もあり得ます. 多世界解釈の世界ではタイムマシンはあり得ますが,コペンハーゲン解釈の世界ではほぼ原理的にタイムマシンはあり得ません. そして僕はタイムマシンは作れることを原理的に示したので,同時に多世界解釈の正しさも理論的に強く示唆されているわけです.

さてここからが問題です.

タイムマシンは未来からの歴史修正パッチで同じ世界線の過去の向かって未来の情報を送るものですが, このとき,同じ未来じゃない別の分岐した未来の世界線からの情報もまとめて送ることができました. 一見すると送ることが可能なすべての世界線の情報をまとめて送ると未来の歴史を修正するときに便利そうです. ところが,実は必ずしもそうではない,というのが今回のテーマです.

実は人類が長生きするか有益な世界線の情報だけ送るしかない

全ての世界線を網羅したらどんなに未来のコントロールが簡単だろうか?と思われがちですが,実はそうではありません. タイムマシンの運用を知る目的は主に二つあります:

  1. 一つ目は大雑把に言って自分の世界線を守るためです. これは例えば核戦争などが起きないように未来の歴史をコントロールするためです.

  2. 二つ目は他の世界線に役立つ情報を提供することです. 例えばある世界線地球温暖化を防ぐ技術が発見されたら別の世界線にこの情報を送り,共有して他の世界線の自滅を防ぐためです. 実は助けた世界線が生き延びれば自分の世界線のためにもなる場合があり,全体としては大変有益な情報が大量に複数の世界線で共有できます.

歴史修正パッチのこの二つの性質があるために,必然的に役に立たない世界線の情報は送られなくなります. 何故なら,容量の制限がある中,役立たずの世界線の情報は送りたくないからです. このため,歴史修正パッチは長生きをしたり,他の世界線に役立つ世界線に主に送られます.

裏を返せば,核戦争で滅んでしまうような世界線は,あまり大量の情報がもらえなくなってしまうわけです. どうせすぐ滅びる世界線だし,どうせ役にも立たない場合が多いからです. このように歴史修正パッチの差分ファイルは強くて役に立つ世界線にえこひいきします.