ども,竜太です.
今回はペテン師たちが愛するテクニックをご紹介します.
「こんな簡単な問題はすぐ解けるでしょう5秒で解いてください」
比較的易しい問題が出されて5秒で解いてくださいと言われたとします. 5秒で解くべきでしょうか?
いいえ違います,たとえ5秒でぎりぎりこたえられる問題だったとしてもです.
何故でしょうか?
それは子供に次のように質問すれば分かります.
「とにかくママに5秒で答えて」
如何でしょうか?この問題のばかばかしさに気づかれた方も多いのではないでしょうか?
- 「アインシュタインは5秒でアインシュタイン方程式を導きましたか?」
- 「そもそも優しい問題を比較的早く解く能力ってそこまで重要ですか」
で十分だと思います. ところが頭の悪い人に限って頭の良さはスピードだと勘違いしている人が多いのです. 「頭の回転の速さ」という言葉が良くないですね.
このためペテン師たちは次の質問をします. 「この問題は簡単でしょうからすぐに答えてください」
この質問で慌てて答えて間違った答えを言ってしまうと,非常に簡単な問題ですら間違うとの印象操作ができます. しかもたまたまあっていれば急いで答えさせる別の問題を無限に用意すればいいだけです. いずれ間違います.
実はほとんどの場合,最も難しい問題を長時間かけて解く方が易しい問題を瞬間的に解く方よりずっと価値があるのです.
例えばを瞬間的に解いてもあまり役に立ちませんが,アインシュタイン方程式を導ける能力はずっと重要です. このためこのペテンにはまると賢い人が馬鹿で愚かな人が賢く見えてしまうのです.
恐ろしい技術ですね.皆さんは騙されないようにしましょう.
さて,ではこの質問をされたらどう答えればよいのでしょうか? こう答えればよいのです:
「あいにく私は頭の回転が速いわけでもないですしその問題は私はあまり興味がありません.興味があるのは一生かけて解かなければならないような本当に難しいがより価値のある問題です. それでこの問題はそこまで価値はありますか?」
「素晴らしい絵でしょう.いくらぐらいに見えます?」
あなたが画商なら別ですが,一般人はそこまで絵の値段が見分けられる必要はあるでしょうか? この問題は一般化すると次のように書けます.
「本質的に重要でない問題を重要であるかに見せて判断ミスを誘うレトリック」
例えばこんな感じです. 「素晴らしい絵でしょう.いったいいくらぐらいに見えますか?」 「この絵なら1億円はくだらないでしょう.素晴らしい!」 「ブー.残念でした.この絵はたった3万円しかしませんよ.そんなことも見抜けないんですか!」
どうですか?実にくだらないでしょう.一般人にとって絵の値段を正確に見抜く能力はあまり重要ではないのにこの論法を使われると, まるでとっても大事な点でミスをしたかのように印象操作されてしまいます.そういう時はこうすればよいのです.
「さーいくらでしょうか.皆目見当もつきません.ですがこの絵の値段が私の能力と何か関係があるのですか?」
恐ろしいテクニックですね皆さんは騙されないようにしましょう.
「それはどうしてですか?」論法
「絵の値段が見抜けないなんてどうだっていいじゃないですか」 「それはどうしてですか」 「今の話題はそれじゃない」 「今の話題と関係ないというのはどうしてですか」 「明らかに違うじゃないか!」 「それはどうしてですか?」
性格にもよりますが,誠実そうな人に限ってこの「それはどうしてですか?」論法に弱いです. 何故なら誠実そうな人に限って誠実に答えてしまうためどんどんこたえなければならなくなってしまうからです. しかも一回でもミスすると急に立場がまずくなります. この論法の卑怯な点は自分は一切答えなくてよいという点です. 「どうしてどうしてってあんまりじゃないか?」 「それはどうしてですか?」
この論法を使う人にはこうしてください. 「まず,あなただけが「それはどうしてですか?」と質問する権利がある理由を教えてください.そして一回でも返事を間違えると致命的にまずいという理由も十分に納得のいくように教えてください.」
これでもそれはどうしてですか?と聞いてきたらこうしてください. 「それはどうしてですかとあなたが聞いていい理由はどうしてですか?それはどうしてですか以外でお答えください」 これを言っても「それはどうしてですか?」と聞いてくる人は誰から見ても間抜けなので相手にしなくても全く問題ありません.
でも知らなければ恐ろしいテクニックですね.
相手の誠実さをなじる論法
「僕からのプレゼント喜んでもらえたかな?」 「ありがとう,とっても嬉しいよ」 「どう嬉しかった?」 「そうだなあ,温かい気持ちが込み上げてきたよ」 「あんまりうれしそうじゃないなぁ」 「そんなことないよ.とっても嬉しいよ!」 「いや,君の態度を見ればわかる.あんまりうれしくなかったんだな」 「ごめん,決してうれしくないわけじゃないんだが」 「せっかくプレゼントしたのにちょっとがっかりしたよ」 「ごめん」
まるで悪夢のような展開ですね.この問題は基本的にプレゼントされたら感謝するものという義務感を強制するところに問題があります. 上の例ではプレゼントされたのは1万円程度のテディベアだったのですが,もらった方はちっともうれしくなかったうえに罪悪感だけ植え付けられて脅迫されてしまいます. よく考えてみてください,10億円プレゼントされたなら十分嬉しいし感謝もすべきでしょうが,たった1万円のプレゼントでこの人はたっぷり感謝しなくてはならなくなってしまいました. しかもプレゼントをもらう前より力関係は弱くなってしまいます.そういう時は正直しんどいですがこうすればよいのです.
「ごめん,君には悪いけど僕は正直に話すことがモットーだから正直に言うよ.君のプレゼントはあんまりうれしくなかったんだ. それに君だって悪いんだよ.高々1万円のプレゼントでそこまで感謝させようとするんだから.」
ここまで読んでくださって有難うございます. 何か間違い等ございましたら,ご報告いただけると幸いです^^