どーも,竜太です.
今回は以前ご紹介した際にミスのあった瞬間情報転送装置の改良版が出来ましたのでご紹介します. 今回の改良により,私の瞬間情報転送装置はこれ以上にないくらいシンプルかつ高性能になりましたので, タイムマシンに使用するのが大変楽になったものと思われます. 原理的に言ってこれ以上シンプルな回路で瞬間情報転送装置を作ることは不可能だと思われます. このシンプルさのすばらしさをご理解いただけると嬉しいです.
改良版マルチビット瞬間情報転送装置
上の図でアリスはボブに瞬間的に情報を送りたいと考えています. アリスはビット列を送ることを考えていますが,今回は情報“1”を送りたいと考えています. アリスは次のようにしてそれを行います:
- レーザー光源から出た多数の光子を減衰することなくに傾けた水平偏光板を通過させる.
- 水平偏光板を通過した光子数は半分になるが,全て偏光光子になる. (以後,は省略)
- ハーフミラー( ハーフビームスプリッタ)で通過・反射した光は偏光方向は変わらずに光波のエネルギーだけ半分に減衰する.
- 通過側のアリスは送りたい情報“1”に対応する偏光フィルターの向きとして垂直にした水平偏光板を設置する. このとき,垂直偏光板を通過した光はもつれを壊さないために決して観測してはいけないことに注意する.
- ボブはポラリメーター(偏光測定器)で光子群の偏光方向を測定する.このとき経路長を調節するためアリス側とずらしておく. するとボブ側ではテンソル積状態の重ね合わせ状態が 一瞬にしてになるので,必ずを観測する. ここで光子数が十分に大きいことより,観測される光子数は分からないものの偏光方向は必ず垂直偏光になるので,きちんとボブ側に情報“1”が送られたことが分かる.
- 後はアリス側は0を送りたいときは水平偏向,1を送りたいときには垂直偏光になるように偏光板を回転されれば任意のビット列が送れることになります.
ここで注意すべきは光子描像ではテンソル積状態が得られないということです.テンソル積状態には必ず光子描像を用いなければならないわけでなく,波動関数のテンソル積状態が取れるので今回はそちらを使用します. これにより,アリスとボブの間の距離がどんなに離れても瞬間的に情報が送れることになるわけです. お疲れさまでした!
今回の成果
今回,光のエネルギーを光子1個レベルまで減衰しないで使用することが出来ました. このため,ボブ側では光子1個だと確率で偏光方向の測定に失敗するのですが,無数の光子を使用することにより, エネルギーはに減衰するものの,確実に偏光方向の測定ができるようになりました. 理解が深まると,アイデアがよりシンプルになるという良い例でしょう.
ここまで読んでくださって有難うございます. 何か間違い等ございましたら,ご報告いただけると幸いです^^