竜太のテクニカルメモ

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Holographic Audio Systemの案

竜太です. 今日は川崎吹奏楽団のサマーウインドコンサートに行ってきました.(フリーです^^;) そこで新しいオーディオシステムHolographic Audio System(略称Holo Audio,HAS)のアイデアが出たのでここにご紹介することにしました. 音響技術にホログラムの原理を生かそうという着想です^^

従来の立体音響

従来の立体音響は原則的に人の耳が二つのマイク=集音装置でできていることに着目したものです. もし人間の耳が完全に二つのマイクでできているという仮定が正しいなら,原理的に左耳と右耳に独立して音を流せば,人間の耳で聴き分けられるどんな立体音響も再現できると考えます. この考えは一見すると非常に合理的でそのためテレビなどは今でも2chステレオが普通です.

2chステレオの欠点

しかしこの2chステレオには致命的な欠点があります. 左右のスピーカーから放射される音は広がる傾向が高く,音の焦点が完全に定まらないため頭の位置をちょっとずらしただけで音像が歪むという欠点と, そもそも2つしか音源がないのでその状態での立体音響が大変難しいのです. 特に後方からの音については相当高級なオーディオセットでないと実際に再現するのは難しいです. そこで次のようなアイデアが出ます.

5.1chサラウンドが最強じゃん!?

後方の音が再現できないなら後方にもスピーカーを置けばいいじゃん!ということで,後方やセンターやサブウーハーなどを付けて沢山スピーカーを並べればどんどん立体的な音響が楽しめるんじゃないか? そういった手法で考え出されたのが5.1chサラウンドシステムです. いかにもいい音がしそうですね. 確かに後方から迫ってくるような音にはめっぽう強いサラウンドシステムです. しかし,これが好きなのはホームシアターを持ちたい人ぐらいで,ピュアオーディオを楽しむ音質優先型の人の受けはイマイチ良くありません. 一体何故なのでしょうか?

5.1chサラウンドは殆どでたらめ

実は各家庭の再生環境や細かいスピーカーの配置を考えると5.1chシステムは大変でたらめな音を出しているといえます. そりゃあ,細かいことを言わず,後ろから迫ってくる車が勢いよく前方に走り抜けるなどといった映画の迫力あるシーンの音響には抜群に良いのですが, 実は精密で正確な音響という意味では音響工学的に言っても全然でたらめなことが,各種の計測で明らかとなっています. 迫力はあるけど,ただそれだけといった感じです.

実は録音スタジオのセットの時点で問題がある

そうなのです. 実は録音するとき,指向性のあるなしにかかわらずマイクは原則的に点で音を拾う宿命です. このため,正確な音像の記録は録音の時点でできておらず,離散的ないびつな音源になってしまっていたのです. これでは音が良くなるはずがありません. 音は空間的に広がるのに,それらを複数の点に置いたマイクで拾っているからです. 本来ならこの音はうまく選んだ曲面で拾うべきなのです.

コンサートホールのような曲面で音を拾うマイクとスピーカー

こうして考えると録音スタジオでは工学的に合理的な曲面全体で音を拾うマイクが必要であり, それを最も正確に再生するにはやはり同じ形状をしたスピーカーで鳴らすのが一番という解が得られます. もう,複数の点で音を拾ってそれを強制的にミックスダウンなんて愚かなことはしません. これが一番自然だし,オーケストラの場合特に一番自然な音が鳴るでしょう.

でも,どうやって録音する?

2次元曲面のマイクは現代の技術で何とか作れそうです. でも,いったいどうやってこれをメディアに記録したらよいのでしょうか? CDでもレコードでも音のデータは原則1次元の時系列的に記録されています. 今まではトラックを増やすことで5.1chも対応させてきましたが,今回は面ですので 原則的に無限個の点を記録する無限個のトラックが必要になってしまいます. これは困ってしまいました. 何とか2次元のデータを1次元に落とせればよいのですが・・・

ホログラムは一つ小さい次元に書き込まれる

実はホログラムは3次元の映像が2次元面に書き込まれています. 逆に言えば3次元なのに2次元分のデータ量しかありません. 何とかこれを利用して1次元のホログラムで2次元のデータを記録できれば良いのですが・・・

ホログラムをオーディオに利用する

Holographic Audio Systemのイメージ図
実はその方法はあり,案外簡単です. ここでは集音マイクの曲面として半球状のドームを想定しましょう. 地球で言えば赤道より上の北半球全体です. 音のデータを赤道から無限小の微小な幅だけ帯状に取って記録することを考えます. 例えばある時刻tにその音の高さが仮に,時計回りに「ドレミ」などと並んでいたとしましょう. これをこのまま記録すると1次元のデータですが,問題なのはこれを中心部まで移動してしまうと,1次元のデータの積分になってしまい2次元のデータになってしまいます. そこで次のように考えます. 帯状のデータをとりあえず0次元上に書き込んでしまいます. すると0次元のデータの積分は1次元ですから,きちんと記録することができることになるわけです. 問題は1次元のデータをどうやって0次元,つまり点に書き込むかというと単に一点に「ドレミ」と書き込めばよいのです. デジタルデータでも一点に「ドレミ」と書き込むことはできます. 確かに一点に書き込まれるデータ量は増えてしまいますが,それはデータ圧縮の原理から言って仕方ありません. とはいえこれで,2次元面で拾った音のデータが1次元化できることになります. さて,ここで問題が生じます. ある一瞬に拾ったデータが1次元だったら,まだデータ量が大きくないのか? というのも0次元のデータなら時間方向に積分して1次元になるからレコード的なものに記録できるが, 1次元じゃ無理なんじゃないのか? という問題です.実はこれはこんな解決策があります.

Holographic Audio Systemの完成

実はこれはデータを記録するとき幅のある直線状のヘッドで音を拾い,時間方向に移動すると帯状の記録帯ができるようにすれば良いのです. こうすれば,ある一瞬に1次元のデータが得られるのでこれはホログラムにより2次元のデータに戻せます. こうして,Holographic Audio Systemが完成しました!

マイクの曲面はどういった形状が良いか?

さて,これまではマイクとスピーカーの形状は半球状としましたが,これは楽器が空間的にでたらめに配置されているときの解で, 一般的に言うと楽器類は平面的に配置されていますので正しい解ではありません. そこでマイクやスピーカーの形状はもっと違った曲面,恐らくコンサートホールのような形状になるものと思われます. 実際には垂直方向に潰れたドーム型が近似解になるのではないでしょうか?

再生環境

さて,再生環境はどうしたらよいのでしょうか? 理想的には録音マイクと同じ形状,同じ大きさが理想的です. でも,一般的に言って録音機材は高価だし,再生環境は各家庭の事情があってまちまちでしょう. そんな時は,同じ形状でサイズだけ小さいスピーカーユニットを使用すればよいのです. 確かに迫力は小さくなりますが,たとえミニチュアサイズとはいえ正確な音像が再現されます. これで懐に余裕がない方でも安心できますね.

音楽の聴き方が増える

実はこのホロオーディオシステム,すごい副産物があります. 例えば2chステレオで歌劇を聴くとき,ボーカルの女性の声が聞きたいか,バイオリンの音が聞きたいか,別の,例えばシンバルの音が聞きたいなどの欲求があったとしましょう. この時点でアウトですね. 何故ならスピーカーは2つしかないので無理やりボーカルを片方のスピーカー,もう片方をバイオリン用にしても,どんなに頑張って聞く位置を変えても3つ目の楽器の位置のシンバルの音が一番よく聞こえる位置などは 存在できないからです. 一方,ホロオーディオシステムなら違います. 女性ボーカルのピュアなソプラノボイスが聴きたいなら録音時にその女性が立っていたであろう地点に移動して聞き, 弦楽器が奏でるノスタルジー溢れる音色が聞きたいならその地点に移動し,後はどこに移動しても一番いいポジションで歌劇が楽しめるからです.

音楽の聴き方を劇的に変えるかもしれない

こうして見てみるとホロオーディオは音楽の聴き方を劇的に変える可能性を秘めていることが分かります. この技術は僕のレーザーレコードの技術と組み合わせると,オーディオに革命を起こすことも夢ではないでしょう.

この技術を実現してみたい方を募集します. SONYさん如何ですか?

ここまで読んでくださって有難うございます. 何か間違い等ございましたら,ご報告いただけると幸いです^^


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