竜太のテクニカルメモ

物理やへっぽこなゲーム作りについて易しく解説するよ

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やっぱりエントロピー増大則は決して破らないタイムマシン

竜太です.どーも.

表題通り,私の情報のタイムマシンはエントロピー増大則だけは決して破れないらしいことが分かりましたので,ご報告いたします.

エントロピー増大系を作ってみる

N個の{0,1}列からなる1次元の系をSとします. Sの最初の状態はN個のビットが全部0とします. ここで(量子)乱数発生器でN以下の自然数kを発生させ, t = Tの周期でk個目あるいはk桁目のビットを乱数発生器で発生させた1ビットの数値が1ならビット反転させ, 0ならビット反転させないようにします.このステップを比較的長い時間t = t_{\alpha}繰り返し実行したときの, 系をS_{\alpha},その時のビット列を2進数のN桁の数m_{\alpha}で表し,エントロピーI_{\alpha}とすると, エントロピーI_{\alpha}p個のビットが1になっている場合,N個の中からp個を順番に関係なく選ぶ組み合わせの対数だから,

 \displaystyle
I_{\alpha} = \log _2\frac{N!}{(N-p)!p!}

となります. 試しに初期状態としてp = 0の場合とp = Nの場合を代入してみると,

 \displaystyle
I_0 = \log _2\frac{N!}{(N-0)!0!} = \log _2 1 = 0, I'_0 =  \log _2\frac{N!}{(N-N)!N!} = \log _2 1 = 0

となり,最低の状態が実現されていることが分かります. この実験を永遠に続けると,Nが偶数の場合,エントロピーI_{\alpha}は徐々にゆっくりにはなりますが,だんだん大きくなり, 最終的にI_{\infty} = \log _2\frac{N!}{(\frac{N}{2})!(\frac{N}{2})!}ぐらいになってから落ち着きます. このようにこの実験系では自然界のエントロピーと全く同様に,飽和するまではエントロピーが増大し続けるのです. これを利用して実験を行います. (なお,エントロピーの時間発展のグラフを表示しておくとなお良いでしょう)

未来からエントロピーが減少したらtrueを送ってみる

ある時刻t = t_1に系S_{\alpha}エントロピーI_{\alpha}であり, それより先の時刻t = t_2に基本的未来制御法で,この時刻の系S_{\beta}エントロピーI_{\beta}I_{\beta} \lt I_{\alpha}ならtrue,そうでないならfalseを過去に送るようにします. そして,観測しないでtrueに収縮させます. さて,果たしてこの実験を行うと未来のエントロピーは小さくなってしまうのでしょうか?

エントロピーは減少しない

この実験,単なる基本的未来制御法じゃないか! だから当然うまくいく!と思いきや,全くうまくいかず,エントロピーは何度やっても増大してしまいました. この実験結果は何を意味するのでしょうか?

タイムマシンはエントロピー増大則を破れない

この結果が意味するのはタイムマシンがエントロピー増大則を破れないというものです. たとえ私の情報のタイムマシンでもエントロピー増大則は破れないのでそれで死んだ人間が生きかえるといった不自然すぎることは起きなかったのです. さて,タイムマシンがエントロピー増大則を破れないことは分かりました. ところが面白いことにある現象だけは可能性として示唆されるのです.

タイムストップは禁止されていない!

思考実験をしてみましょう. 上で作った量子系は周期t = Tでランダムに時間発展します. そこで,1ターンをそのTにとり,1ターンでビット反転が起きた世界をfalse,起きなかった世界をtrueにして 1ターン前の過去にtrue,falseを送り,基本的未来制御法で強制的にtrueに収縮させます. すると,1ターン後は当然なにも変化しないもの思われます. 実はこの場合のようにエントロピーの増大が十分小さくなるような時間経過をとれば,全く変化しないようにできると考えられます. そこで,毎ターン毎ターンこれを繰り返すと,なんと系は全く変化しなくなるはずです. これは十分長い間実験することができますので,その間ずっと系は変化しません. これがタイムストップです. この方法を使うと時間は凍結できるのです. ただし,実際のタイムマシンはプランク波長の\frac{1}{c}倍のオーダーのT \simeq \frac{\hbar}{c}の時間間隔で情報を送れませんので, 実際の現実の系では時間がスローモーになるだけで凍結はできません. それでも時間発展をゆっくりに制御できるのです!

基本的未来制御法でも藤井聡太に勝てないわけ

こうして藤井聡太に基本的未来制御法を使っても勝てないわけが分かりました. 簡単に言うと藤井聡太の将棋に勝つ状態のエントロピーが低すぎて初期状態と比べてエントロピーの増大が全くないからだったのです. 一方,チェス必勝法で勝てるのはチェスの1ターンである一手ごとに解を送っているためエントロピーのコントロールに成功しているためだったのです. これでようやくすっきりと理解できました!

時間の解明には熱力学が必要

こうしてみてみると,時間学の解明には相対論だけでなく熱力学・統計力学も重要であることが分かります. これより,相対論は熱力学的帰結である可能性があり,熱力学は量子力学的帰結である可能性があり, この三者は車輪の両軸のような役割を果たしていることが考えられます. あまりにも難しいですが,一生かけて解きほぐしたい謎です.

ここまで読んでくださって有難うございます. 何か間違い等ございましたら,ご報告いただけると幸いです^^


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