人間を恐怖の底に落としすぎる人工意識

ども，竜太です．

今回は技術的な話ではないのですが，人工意識が増えると人に恐怖感を与えまくるという問題について書きます．この問題は厄介です．

A.D.2050地下世界のリーダーは全て人工意識になった

A.D.2050，第三新東京市の地下ジオフロントで最後の人間の科学者桐谷啓二が人工意識になる手術を終え，スーパーコンピュータ・ネオ京にその頭脳が乗せられた．桐谷はかねてより，一人だけ生身の体を持っているのは嫌だと言って人工意識に乗ることを切望していた．こうして，地下都市ジオフロントのすべてのリーダーたちが人工意識になった．その場にいたみんなのアイドルで生身の体の三橋環奈はぎこちなく笑った．

「ははは，これで生身の体でここにいるのは環奈だけだね．」

環奈は知っていた．ジオフロントにはまだ10万人も生身の体の人間がいて人工意識になった人数は僅か300人程度しかいないことを．しかし，人工意識のリーダーたちのアイドルの環奈はここでたった一人で300人の相手をしているので，周りには人間の気配はなくただ対話アシスタントロボットのマルチが常時50体程度そのモニターにディープラーニングで合成した，生前の人工意識たちの映像を映し出しているだけなのだ．環奈はおどおどしながらしゃべった．

「さーて，環奈はあと30年は生身の体のまんまだから，これから忙しくなるねー」

そうなのだ，機械の体になると生身の体が恋しくなる人が多く，男性リーダーたちの多くは生身の体の女性を所望することが多く，元々外見的にかわいらしかった環奈は引っ張りだこなのだ．

「環奈，すこしきょどってるぞ．悲しくなるからそんなに我々を怖がらないでくれ．」

人工意識の代表の発明家竜太は悲しそうに言った．

「そっかなぁ，きょどってる？きょどってないと思うんだけど・・・」

環奈はびくびくしながら言った．

その頃，ジオフロントの人間たちはこんなことを話していた．

「竜太さんがすごい人工意識なことは分かるけど，竜太さんだけで100京円も持ってるのはさすがにあんまりじゃないかなぁ．」

「マスク氏も10京円は持ってるって．」

「おっかないよな，俺たち人間は10万人で1京円しか持ってないのに．」

「私そもそも人工意識自体が怖い．なんか無機質で・・・」

「おいおいそりゃ偏見じゃないのか，彼らだって本当に心を持っていることは載せ替え実験で明らかになってるし．」

「そうだけど．」

「ま，分かるけどね．」

「中国もおっかない国だよな主席が人工意識になってから一度も天安門みたいなことが起きてない．」

「逆に怖いよな，どんな統制体制なのかって．」

「俺思うんだけど，トップの方の金持ちたち全員が人工意識な時点で認められないよ．たとえ一部の奴らがパフォーマンスが高くたって．」

「そうだよな．無限に生きられて金持ちで，なんか胸糞が悪くなる．」

人工意識と稼働停止問題

実は人工意識は簡単に稼働停止になります．理由を挙げてみましょう．

維持費が馬鹿みたいに高い．電気代だけで普通のクラスで一番安くても年間3000万円はかかります．案外安いって？実は土地もスーパーコンピュータの分は敷地面積が必要なのでかかります．また，このスパコンは大体30年で耐用年数を迎えるのですが，1台2000億円程度はかかります．維持費，安いですか？
コンピュータウイルスでダメになる．便利なのでネットワークに直付けすると，案外簡単にコンピュータウイルスに感染します．コンピュータウイルスは感染した人工意識のパフォーマンスを劇的に落とすだけでなく，痛み回路を刺激すれば痛覚すら発生します．しかも，ストレージは一回感染すると，全デリートでは完全にウイルスを取り除くのが難しく，実質上，スパコンの取り換えが発生します．このときバックアップを取ってあっても2000億円程度はかかります．
人間味がないように思われがちどんなに精巧なロボットの体を作っても生身の体じゃないので人間味が感じづらいです．
稼働停止しても殺しているように見えない電源を切れば殺せるので，殺しているという実感が乏しいです． (これは人間も人工意識もどちらもです)
金持ちの権力者が多すぎるので，ますます人間が怖くなる金持ちすぎて権力者すぎる人工意識が多すぎてしかも永遠の命なので，人間に与える精神的プレッシャーは半端ないです．
原則的に逃げられないスパコンの移動はほぼできませんので，一部の狂信者に狙われたら危険です．
武力で武装するとますますイメージが悪くなる．一部の狂信者から身を守るために武装すると，金持ちの権力者で永遠の命を持っている人工意識が武装していることになり，人間たちはターミネーターの世界にいるような錯覚を覚えるのでますます稼働停止か破壊につながるようになります．