竜太です.どーもー.
今回は小さなアイデアですが,実用性抜群のアイデアについてご紹介します. 『風に流されて赤道上空を移動する空中宇宙エレベータ』の案です.
これまでのおさらい
従来,SF作家たちは宇宙エレベータは地上まで伸びているものを考えてきました. しかし僕は地上までワイヤーを張ると地上付近の強い重力のため炭素繊維の強度の10万倍程度の張力が 必要になってしまうことに気付きました. そこで僕は地上100km付近に乗降口を設けた空中宇宙エレベータなるものを作ると, 炭素繊維の半分程度の強度で十分運用可能な宇宙エレベータが作れることを指摘しました. ただし,この空中宇宙エレベータは風に流されてしまうため, 乗降口を一定の場所に作るためには強力な光子ロケットと それに電力を供給する莫大な量の原子力電池が必要で,莫大なコストがかかるうえに, 原子力電池の打ち上げでもし爆発事故が起こると大気中に大量の核燃料が飛散し, 大量の放射能汚染が発生してしまう問題がありました. 空中宇宙エレベータの乗降口を常に同じ場所にする何か良い方法はないのでしょうか?
乗降口が風に流されたらどうなるか?
乗降口が風に流されないためには最もシンプルにはロケットで風に逆らう向きに進むように 噴射することが考えられますが,そのもっともよさそうな案が光子ロケットを用い, その電力を原子力電池で賄うというものでした. 今のところ,乗降口が風に流されないための別の良い案はなさそうです. そこであべこべに乗降口が風に流されても良いとしたらどうなるか考えてみました. 驚くべきことに,実は風に流されても大して問題がないことが分かりました. 実は空中宇宙エレベータは風に流されても勢い良くは移動しない上に, 風に流されても反重力船をそっちの方向にほぼ慣性運動させれば,相対運動をゼロにできるので 乗り降りの不便は発生しないからです. その代償として,空中宇宙エレベータの乗降口は地上の同じ地点にとどまることが出来ず, 反重力船はもしかしたら,赤道上の太平洋のど真ん中まで移動する必要はあるかもしれません. それでも反重力船の効率の良さを考えればほぼ無駄は無視できますので, 風に流されても一向にかまわないことが分かります. これで一件落着に見えました.
5000台の空中宇宙エレベータを作ると数年で団子状態になってぶつかる
この方法は確かに世界に1台しか空中宇宙エレベータがない場合には大変有効です. しかし,空中宇宙エレベータは本来小惑星から金属資源などを調達する目的で 運用することが想定されているため,数千台を赤道上に作る必要があります. 困ったことに,これだけたくさん運用すると,数年たつと風に流されてお互いに若干の引力で 引かれ合った空中エレベータが団子状に一か所に集まってしまって次々と衝突して壊れてしまうことが分かりました. 沢山作る場合,この方法が危険であることもはっきりしたわけです. これでまた振出しに戻ってしまったかのように見えます.
ぶつかることが分かったら片方破壊する案
そこで,ぶつかることが分かったら,片方を破壊して衝突を避けるという案を考えてみました. これだと,片方の宇宙エレベータは無駄になりますが,そのコストは原子力電池も光子ロケットも使用しないので,十分実用的に見えました.ところが直ちにこの方法がダメなことも分かります. 何故なら,1台だけ偶然近づきすぎて衝突してしまう場合は良いのですが,そもそも大量に団子状に 空中宇宙エレベータが一か所に集まってしまうため,壊しても壊してもきりがないからです. この方法はうまく行かないことが分かります.
衝突しない最低限度の光子ロケットを積む
そこでやむを得ず,空中宇宙エレベータを一か所に固定するのではなく, 風に流されても良いから空中でお互いに衝突しない最低限の光子ロケットと原子力電池を 搭載したらどうなるかを考えてみました. すると,なんと余力を持っても,一か所に固定する場合の15分の1程度の光子ロケットと核燃料で済むことが分かりました. あまりエレガントな解ではありませんが,核燃料が15分の1で済むというのは十分に実用的で 魅力があります. 物事は匙加減次第であるという典型例です.
実用的な空中エレベータができる!
こうして,風に流されるものの団子状に一か所に集まらないように最低限度の光子ロケットと 原子力電池を搭載した空中宇宙エレベータを打ち上げる案が現状では最も良いということになりました. この空中宇宙エレベータは100兆円では作れませんが,1000兆円なら十分に作れると考えられます. また,乗降には理想的には反重力船が理想ですが,間に合わせとしては爆発の危険はあるものの 水素を使用した気球を使用することができます. 何故水素かというと,爆発の危険性はあるものの,ヘリウムより浮力があり,しかも無尽蔵に水の電気分解から格安で製造することができるからです. 枯渇しかかっているヘリウムを使わずに済むのは大変エコですね. こうしていよいよ,宇宙エレベータ新時代が幕開けとなったわけです.
ここまで読んでくださって有難うございます. 何か間違い等ございましたら,ご報告いただけると幸いです^^