ども,竜太です.
今回はアメリカの16歳のあばずれギタリストの編み出した全く新しい音楽理論である『コード進行変調理論』についてご紹介します. 彼女はメタルに似た新しい音楽のジャンルである『fucker』の創始者でもあります.
純正律と平均律
www.nishi-guitarschool.com 純正律とは,簡単に言うと「周波数の比が単純な整数比である純正音程のみを用いて規定される音律」(Wikipedia)です。 これは効果としては「和音が綺麗に響くように決められた音律」です. しかし,純正律には大きく分けて2つの欠点があります:
- 純正律でも響きの良くない和音が存在する.
- 基準となる音がずれると音程が変わるため自由に転調ができない.
という点がありました. 転調ができないのは音楽をかじったことのある方ならご存じの通り,曲の途中でがらりと雰囲気を変えることができないという欠点があることになります. この点を改良するために生まれたのが平均律です.
平均律とバッハ
バッハの作品の中に『平均律クラヴィア曲集』というものがあります. これを見ると,バッハの時代すでに平均律が存在していたように思え,実際にバッハが平均律を編み出したと考えている人も多くいます. ところが実はこれはどうやら大誤訳の様でバッハは一曲も平均律の曲を作曲していなかったようです. 本当の平均律はバッハよりものちの時代の今から150年ほど前に,ピアノの調律が一回で済むという手軽さのために使用されたのが始まりと考えられます. 平均律とは通常,1オクターヴを12等分した音階を使用したもので,音階が整数比ではない代わりに等比級数になっているものを指します. これにより,
- 転調が自由にできるようになった.
- その代償として和音が整数比でないためうなるようになりハモらなくなってしまった.
という特徴を持つようになってしまいました.
転調が自由にできるが和音が汚い平均律
このため平均律は転調が自由にできるため,ギターは全て平均律に基づいて作られているのですが, 和音が濁ってしまうという代償を持つようになってしまいました. 現代音楽は通常全てこの平均律で作られているため,この平均律の呪いは全ての人々に平等に架けられてしまっているということになります. そこで絶対音感のあるfuckerの創始者のギタリストミランダによって編み出されたのが,『コード進行変調理論』です.
コード進行変調理論とは何か?
コード進行変調理論とは一言でいうと「転調をするために1オクターヴを12等分した平均律を用いるのではなく,整数比になっている純正律を用いながらコード進行の方を狂わす」 という理論です.転調をするために音階を狂わすと和音が濁ってしまうので,和音が濁らないために純正律を用いながらコード進行の方を狂わすという技術なのです. しかし,平均律の欠点は分かるものの,そんな簡単にコード進行を狂わしてしまって良いのでしょうか?
仰げば尊しはそもそもコード進行を狂わした方が美しい
実は人間の耳は音階の狂いと和音の濁りには敏感ですが,コード進行の狂いにはやや鈍感な場合が多いという性質があります. それどころか,実はコード進行を意図的に狂わした方が美しい場合さえあります. 代表的な例として,かつて卒業式で良く歌われた『仰げば尊し』が挙げられます. 仰げば尊しは,「今こそー分かーれめー」の後の間隔は正しいコード進行だとやや余韻が足りず寸詰まり気味ですが, やや伸ばし気味にしてゆっくり歌うと非常にきれいになります. 明らかに意図的にコード進行は狂わした方がずっときれいなのです. そうなのです.完全に誤解されがちですが,がちがちにコード進行通りだとほとんどの場合窮屈で決して美しくない実に機械的な音になってしまうのです. 一方和音はハモる必要があるので,例え機械的ととらえられようとも,きちんとした整数比の音階でないとまずいのです. こんなことが実は150年も以前から狂ったまんまだったのです. このことは特に絶対音感のある人にとってはひどく汚く映るようです. 残念ながら僕は絶対音感がないので,この原理が数学的に分かるだけですが,音のきれいさにこだわる場合,絶対音感のある人の意見にも耳を貸す必要があるようです. ミランダは絶対音感があるため平均律のこの欠点が許せず,彼女のギターは彼女自身によって平均律から外れたように調律してあるようです. こうしてfuckerの創始者の彼女は新しい音楽理論への扉を開いたのでした. なお彼女は弱冠16歳にしてジュリアード音楽院の特待生としての入学が認められました.
コード進行変調理論は全く新しい音楽理論
こうして得られたコード進行変調理論は残念ながらまだ未完成の理論の様であります. ただし,平均律の欠点は明らかなのでこの点の改善は急務と考えられます. 僕は以前シナリオライターの麻枝準氏の作曲したAirの名曲『夏影』の転調が変すぎて耳が腐るといった著名な作曲家がいたということを麻枝純氏が悲しんでいたということを読んだことがあります. ところが絶対音感のあるミランダによるとこれはあべこべで夏影はむしろ正しいということです. 平均律の呪いがいかに恐ろしいのか想像できます.
ここまで読んでくださって有難うございます. 何か間違い等ございましたら,ご報告いただけると幸いです^^