ども,ども,竜太です.
実はニューロン網のデータ化の技術が以前書いた記事通りでは機能しないことが分かったので, 今回はきちんと機能する技術をご紹介します.
ニューロンの繋がっている相手だけで大丈夫?
前回の記事ではニューロンから伸びている軸索の空間的配置はほぼ考慮せずに, どのニューロンが誰とつながっているかという(which)に注目してどのようにつながっているかという(how)は無視するという考えを提供しました. しかしこれだけで十分なのでしょうか?
ニューロン網の神経モデルには距離が必要
ニューロンは大雑把に言って発火するかしないかの2通りしかないのである意味デジタル的です. ここでニューロンはニューロンの神経モデルという微分方程式に従い,ニューロン数個程度なら, 挙動は完璧に解明されています. ここで重要なのが,ニューロンは情報の入り方が重要だということです. ニューロンはつながっている他のニューロンの発火によって自分自身が発火するかどうか, 微分方程式に基づいて決めます. このとき,つながっているニューロンから強い発火の信号が入ったときだけ,自ら発火し, それが他のニューロンに軸索を通して伝わります. 大切な点はどの様に他のニューロンからの発火の信号が伝わるかです. 具体的に言えば,他のニューロンの発火の順番が大事になるわけです. 発火の順番が逆だと全く違った反応になるようにできているからです. この発火の順番はニューロン内をゆっくり伝わります.(光の速さではありません!) というのもニューロンはイオンの電位で情報を伝えるため光速よりずっと遅くしか情報が伝わらないためです. このことは脳の処理速度を確かに遅くしますが,良い面もあります. 何故なら,軸索の末端側に接続しているか,ニューロン側に接続しているかで情報の伝わる速さに違いが出るからです. 当然末端側の方が後から情報が流れます. つまり,情報の入る順番を考慮しないでどれが誰に繋がっているかという情報だけでは機能しないのです.
改良版ニューロン網のデータ化技術
まず,ニューロン一個一個に通し番号を振ります. 次にニューロンの軸索一本一本にも一つのニューロン内で通し番号を振ります. 枝分かれしている点を考慮する必要があるので,難しいですが,例えば5番目の軸索が3又に分岐している場合はと番号を振ります.三段に分岐する場合は例えばなどとします. このとき,の軸索に種類が3番目のシナプスがついて別のニューロンの別の軸索につながった場合は のようにします. ただし,581と567はそれぞれニューロンの通し番号でコロンの後の7と4は軸索の種類番号, 下付きの数字はシナプスの種類番号です. ここで,途中まで同じ軸索に別のシナプスがついている場合にはのように別に記録します. 当然の種類番号4のシナプスの信号の方がの種類番号3のシナプスより先に581番目のニューロンに信号が届きます. こうして,後は微分法手式を用いればニューロン網の発火モデルがほぼきちんと機能するようになります.
人工意識は作れるか?
この計算は気象計算の地球シミュレーターの計算と比べて軽い見込みが高いです. また,新生ニューロンがまだ作れないので,何も記憶できないじゃないか! という突っ込みも的外れです. というのも,朝食べたご飯を覚えているというのは,新生ニューロンを作る機能とは ほぼ無関係だからです. ただし,数学の新しい定理を理解するなどといった状況や,全く新しい言語を学習するなどといった状況ではこれが問題になります. こうして,人工意識はほぼ作れる技術になりました.
ここまで読んでくださって有難うございます. 何か間違い等ございましたら,ご報告いただけると幸いです^^