ども,竜太です.どーも.
今回はブラックホールに関するなぞを一つ発見したのでご紹介します.
ブラックホールの事象の地平面の外側からロープを下ろしたらどうなる?
今回,話の本質に注目するため,十分馬鹿でかいシュワルツシルトブラックホールを考えます. 小さなブラックホールだとホーキング放射で爆発的な熱を持ってますし,潮汐力の差も大変大きくロープが簡単に切れてしまいます. また,回転していたり,電荷をもっている場合は,それはそれで面白いのですが,今回はこの問題に最もシンプルに迫るために, 非常に大きな,したがって大きな潮汐力も大きな熱も持たない静的で球対称なシュワルツシルトブラックホールを対象とします.
ブラックホールの無限赤方偏移パラドックス
ブラックホールの事象の地平の外側からロケット噴射をしながらロープを事象の地平の内側へ降ろしたとしましょう. ただし,シュワルツシルト半径が大変大きいため,その外側では小さなロケット推進力でも十分に吸い込まれないようにできることに注意してください. このとき,シュワルツシルト半径の内側に向かってロープを下ろすとどうなるでしょうか? ロープはシュワルツシルト半径の内側まで落ちます.しかし,いざ事象の地平面を超えると突然全く見えなくなります. 実際には従来の理解では事象の地平面の少し外側からやってくる光は激しく赤方偏移を起こすと考えられますので,突然見えなくなるのではなく, だんだん暗くなって赤っぽくなって見えなくなるということになっています. しかしこれで本当に良いのでしょうか? 例えば,事象の地平面の10cm外側の人は11cm内側は完全に見えません. ということは僅か10cmで無限大の赤方偏移を起こさなければならないことになってしまいます. この原理ですと,この距離はいくらでも事象の地平に近いところから無限赤方偏移を起こすことになります. より正確には事象の地平面からεだけ外側の赤方偏移は当然1メートル外側より10センチメートル外側のほうが赤方偏移の量は少ないのですが, それでも非常に大きな赤方偏移になってしまいます. これは事象の地平面が座標特異点と呼ばれる見かけ上の特異点で,曲率特異点の様な真の特異点でないことを考えるとかなり奇妙です. これを僕は『ブラックホールの無限赤方偏移パラドックス』となずけることにします. 疑り深い方のために若干付け加えるとクルスカル座標を使うとこの見かけ上の特異点は消滅します. 選んだ座標が悪かったために見かけ上発生した特異点であって真の意味で物理的に何かが発散しているわけではないのです.
事象の地平面の内側までロープを落としたら張力は無限大か?
さて,事象の地平面の外側からロケットを噴射して吸い込まれなくすることができることは述べました. それではそのロケットから降ろしたロープが事象の地平面の内側まで垂れたとき,張力はどうなるでしょうか? もし有限で切れない張力なら引っ張り上げてしまうことができ,これでは事象の地平から一切抜け出せないことに反し矛盾します. ということはどんなに丈夫なロープでも切れるほど強い張力が掛かっていそうですが,それだと事象の地平付近で非常に大きなGがかかることになり, これでは事象の地平を穏やかに通り抜けられるという数学的事実に反します. これを僕は『ブラックホールの無限張力パラドックス』と呼ぶことにします.
この二つのパラドックスが意味するものは何か?
今のところ僕の提案したこの二つのパラドックスに答えたものを見たことはありません. 僕自身もなぜこんなことが起こるのか分かりません. パラドックスの解決方法も分かりません. ですからこれはとっても重大な問題のように思えます. どなたかこの問題を解決してくださるとうれしいです.
ここまで読んでくださって有難うございます. 何か間違い等ございましたら,ご報告いただけると幸いです^^